こんにちは、キジくんケンケンブログのキジけんです、ケンケン。
解熱(げねつ)という言葉がありますが、この言葉は「下熱」とも書くのでしょうか。
「下熱」と書くかどうかは国語辞典によって異なります。
明確に “「下熱」は誤り” と記載している辞書もあります。
特別な意図がなければ「解熱」と書くことをお勧めします。
国語辞典を分類
僕が持っている国語辞典(10冊)を、次のように分類してみました。
①「解熱」のみ記載。「下熱」については、見出し語にもないし、一切触れない。
②「解熱」のみ記載。「下熱」については、誤りとする。
③見出し語としては「解熱」の表記を採用するが、”「下熱」とも書く” と記載。
④「解熱」と「下熱」を使い分ける。
①「下熱」については、見出し語にもないし、一切触れない
「解熱」のみ記載。「下熱」については、見出し語にもないし、一切触れない。
このタイプの国語辞典は、5冊あります。(比較多数です。)
現代国語例解辞典第五版(小学館)
岩波国語辞典第八版(岩波書店)
旺文社国語辞典第十一版(旺文社)
新解国語辞典第二版(小学館)1
明鏡国語辞典第三版(大修館書店)
これらの辞書では語釈はすべて(体温・熱を)「下げる」という表現になっており、「下がる」と表現しているものはありません。
げ ねつ【解熱】〔医〕高くなった体温を下げること。
―やく【―薬】発熱を下げる薬。解熱剤。熱冷まし。(旺文社国語辞典第十一版(旺文社))
②「下熱」については、誤りとする
このタイプの国語辞典は1冊あります。
学研現代新国語辞典改訂第六版(学研プラス)
げ-ねつ【解熱】《名・他サ》高い体温を下げること。「―剤」 [注意]「下熱」は誤り。
(学研現代新国語辞典改訂第六版)
③ “「下熱」とも書く” と記載
このタイプの国語辞典は2冊あります。
集英社国語辞典第3版(集英社)2
新明解国語辞典第八版(三省堂)3
げ ねつ【解熱】―する(自サ) 発熱した体温を下げること。「―剤」 [表記]「下熱」とも書く。
(新明解国語辞典第八版。アクセント記号は省略)
④「解熱」と「下熱」を使い分ける
このタイプの国語辞典は2冊あります。
三省堂国語辞典第七版(三省堂)
広辞苑第七版(岩波書店)
げ ねつ[解熱](名・自サ)[医]①〔病気などで〕高くなった体温を下げること。「―剤(ザイ)」 ②[下熱]熱が下がること。
(三省堂国語辞典第七版)
三省堂国語辞典第七版の用字では、「解熱」は①②に共通の漢字、「下熱」は②のみの漢字ということになります。
広辞苑第七版では、「解熱」と「下熱」は、(隣り合ってはいますが)別見出し語です。「下熱」は「高温だった体温がさがること。」であり、「解熱」は「高温の体温をさげること。」です4。
用字についての考察
そもそも熱というのは、出たり(発したり=発熱)なくなったりするものであって、上がったり下がったりするものとは考えられていなかったのではないかと思います。
じゃあ、上がったり下がったりするのはなんなのかというと、それは「熱」ではなく、「体温」であるわけです。
しかし体温と熱が混同されて、「熱が下がる」「熱が上がる」という表現が生まれました。
そして、「下熱」という誤記が生まれたものと思われます。
現状では「下熱」という表記も認められつつあるが、一般的にはやめておいた方がいいと思います。
まとめ
「下熱」と書くかどうかは国語辞典によって異なります。
明確に “「下熱」は誤り” と記載している辞書もあります。
特別な意図がなければ「解熱」と書くことをお勧めします。
以上です、ケンケン。
註釈
- 「新解国語辞典」は「新明解国語辞典」とは別物です。[↩]
- 「・・・体温が下がること。また下げること」という語釈です。[↩]
- 尚、新明解国語辞典第七版は、①のタイプ(「下熱」には触れない)である。[↩]
- 僕は広辞苑第二版補訂版(第一刷は昭和51年)というものも持っているのですが、そちらでは、「解熱」しかありません(①のタイプ)。[↩]