鬼が酒盛りをしている間に、鬼ヶ島でまんまと居空きに成功した桃太郎たち―
桃太郎「よし、逃げるぞ。舟に宝物を載せろ」
・・・
キジ「ま、まずいです。鬼に勘付かれました」
犬「鬼が追ってきます」
桃太郎「猿、そこの桃の缶詰を、鬼に投げ付けろ」
犬「缶詰が当たったら、鬼も痛いですものね」
猿「缶詰はいいですが、なぜ桃なんですか。『桃太郎だから』なんて言わないですよね?」
桃太郎「桃は意富加牟豆美命と言って、魔除けの力があるんだ。どうだ、漢字が読めないだろう」
犬「桃太郎さんは、物知りですね」
桃太郎「テヘッ」
猿「ちなみに、今の漢字は何て読むんですか?」
桃太郎「えっ、わ、あ、・・・そ、そういうのは、猿くん、自分で調べられるだろう?」
キジ「そんなことより、早く投げないと・・・」
猿が投げると、勢いが強すぎたのか、桃の缶詰は、鬼の頭上をはるか飛び越えて、向こうに行ってしまいました。
キジ「だから早く投げてと言ったのに・・・」
犬「あれっ、鬼が桃の缶詰を取りに引き返していますよ」
猿「やっぱり、鬼でも桃の缶詰は好きなんですね」
桃太郎「よし、鬼が桃を食べているうちに逃げよう。・・・ま、初めからこうなることを狙っていたんだ」
キジ「あれっ、鬼の様子がおかしいですよ」
桃太郎「どうしたんだ」
キジ「缶切りがないんで開けられなくて困っているようです」
こうして、鬼たちは、鬼ヶ島に缶詰めになってしまったのです。