ことば

「ためらう」の漢字

こんにちは、キジくんケンケンブログのキジけんです、ケンケン。

「ためらう」を漢字でどう書くかという問題です。まず結論から。

結論

「ためらう」は漢字で書くと、

躊う

「ためらう」は、普通、「躊躇う」と書かれることが多いようです。

しかし、「躊う」と書くことをお勧めします。実際に、手書きする場合は、

踌 (足へん+寿)

という字体でも結構です。

「躊躇」

「ためらう」の意味の漢語として、「躊躇ちゅうちょ」という言葉があります。

「躊躇」は連綿語れんめんご という種類の語であり、語源的に「躊」と「躇」に分けることはできないとされています。

従って、「躊躇」という、「躊」「躇」の2文字が連続したカタマリに対して「ためらう」と読み方を当てはめるのが本来の書き方ということになります。

それゆえ、一般的には「躊躇う」という表記が行われているものと思われます。

日本語の表記として考えた場合

しかし、僕たちは日本語の表記として漢字を使うのです。

連綿語という漢語の概念に捕われる必要性は高くありません。

問題なのは、「躊躇う」と表記されると、「ちゅうちょ・・・う」と読んでしまいかねないことです。(誤読してしまう。)

「ちゅうちょ・・・あ、ためらう、か」

「ちゅうちょ・・・あ、ためらう、か」

というように、漢字を読むのをタメラウ感じになってしまうのです。(もう一度言いましょうか。)

尚、細かいことを言えば、「ためらう」には、「躊躇う」のほか、「猶予う」「逡巡う」という表記もあります(手元の「新潮日本語漢字辞典」の巻末の熟語索引による)。それらも誤読しかねないという、同様の事情があります。

「躇う」は?

「ためらう」は、「躇う」という表記もあります。ただ、「躇」には、「ふむ」1や「こえる」2という、関連はあるものの、少し意味の異なる読みもあります。

それと、手元の「漢検漢字辞典」(第二版)では、「ためらう」の見出しに掲げられている漢字は「躊う」のみです3

尚、参考になるか不明ですが、「躊う」と「躇う」のGoogleでの検索件数を書いておきます(2021年5月15日調査)。( | はORと同じです。それと、躇または躊の前にマイナスを付けている(除外している)のは、「躊躇う」などを排除するためです。歴史的仮名遣いについては考慮しておりません。)

(“躊わ” | “躊い” | “躊う” | “躊え” | “躊お” | “躊った” | “躊って”) -躇 -“漢字”
⇒約 22,500 件

(“躇わ” | “躇い” | “躇う” | “躇え” | “躇お” | “躇った” | “躇って”) -躊 -“漢字”
⇒約 4,560 件

結論

以上の事情を考慮して、「ためらう」は「躊う」と表記することをお勧めします。

ただこれは、漢字で表記したい場合の話なので、平仮名で「ためらう」と表記することに何も問題はありません。

以上です、ケンケン。

註釈
  1. 『漢字源』改訂第六版による。[]
  2. 『全訳漢辞海』第四版による。[]
  3. この辞書に「躊躇う」という表記はないなどと言っているのではなく、「躊」という親字に対する子見出し(熟語見出し)として「躊躇う」という表記もあります。[]

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