ことば

「以上」「以下」「未満」「?」・・・「未満」の対義語は?

こんにちは、キジくんケンケンブログのキジけんです、ケンケン。

「未満」の対義語は何か。誰しも、とは言わないまでも、多くの人が疑問に思うようである。

「未満」の対義語とは、「を超える」という意味になる接尾辞である。

結論

結論

「未満」の対義語(「を超える」の意味)は
「超」(ちょう)
である。

使用例) 時速100キロ超

どうしても、2文字でないと納得がいかない人は、「超満」「過満」という言葉を使えばよい。(ただし、僕は積極的には支持していない。)

「超」の例

国税庁が作成している「民間給与実態統計調査」から引用する。以下の通り。

給与階級別分布
1年を通じて勤務した給与所得者 5,270 万人について、給与階級別分布をみると、300 万円 400 万円以下の者が 914 万人(構成比 17.4%)で最も多く、次いで 400 万円 500万円以下の者が 788 万人(同 15.0%)となっている。

(「令和3年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-」)(赤字は引用時)

考察

自分は教科書でどのように学んだか

少なくとも、「以上」「以下」「未満」という三つの言葉は、僕は学校で習っているはずだ。

僕は押入れの中に小学校と中学校の教科書を取っておいている。

そして、押入れの中の教科書をかき集めてみた。

さすがに「以上」「以下」「未満」を学習したのが中学校ってことはないだろう。

ま、小学校3年~6年くらいだろう。

小学校のときの算数の教科書が集まった。小学校1年から6年まで。
小1の教科書は1冊だが、小2から小6までは、「上」(じょう)・「下」(げ)の2冊に分かれている。

ただ、小6の「下」の教科書だけは見つからなかった。

小6の「下」は見つからないが、「それ以外を読めば、どこかにでてくるだろう」僕はそう思った。

だが、小1から小6の「上」までのどこを読んでも「以上」「以下」「未満」はなかった。

ははーん、ということは、小6の「下」で習ったということだな、僕はそう思った。

見つかった教科書の中(小6の「下」、以外)では、何度読んでも書かれていなかった。

どのように学校で習ったかという記憶はない。

ということは、自分がどのように習ったかは不明ということだ。

「超過」という言葉は、未満の対義語ではなさそう(基本的には)

自動車運転の速度違反で「△△キロ超過」と言えば、制限速度にプラスして△△キロ(超過分が△△キロ)という意味であり、「△△キロを超えた速度で運転」(>△△キロ)という意味ではない。

例えば、次のような使われ方がされる。

新潟県内の高速道路で7月4日、法定速度が時速100キロの区間を公用車で75キロ超過の時速175キロで走行したとして、新潟県警は3日、道路交通法違反(速度超過)の疑いで、同県警の女性巡査(23)を新潟区検に書類送検するとともに、同日付で戒告処分にしたと発表した。寝坊をして公務の研修会に遅刻しそうになったのがスピードを出した理由という。

(産経ニュース 「23歳女性巡査、寝坊で高速道を時速175キロで走行 オービスが感知 新潟県警」 2018.9.3 18:57。マーカーは引用者(キジけん)による(以下同じ))

75キロ超過」とは、76キロや77キロで運転したという意味(>75キロ)ではなく、「制限速度プラス75キロ」という意味であることは明らかである。

次のニュースは、同じ「キロ超過」であっても、速度ではなく体重についてである。

 海外の世界戦では昨秋から約10件の体重超過があった。ネリら外国人の失態が目立つが、実は国内でも相次いでいる。元日本フライ級王者・村中優は、15年4月のV3戦で1・2キロ超過の52・0キロで王座剥奪。同年10月の試合でも体重超過で失格し、半年間の出場停止処分を受けた。

(スポーツ報知 「比嘉大吾はなぜ体重超過? 前戦から2か月半で苦しい11キロ減量」2018年4月15日 6時0分)

もちろん、「制限体重プラス1.2キロ」という意味である。体重が1.3キロや1.4キロであるという意味ではない。

なぜか金額の場合の「超過」は

ところが、なぜか金額の場合は、「△△円超過」で、「△△円を超える」(>△△円)という意味で使われることもある。

お借入後残高 ご返済金額 ご返済回数
30万円以下 お借入後残高 × 3.61% (1,000円未満切り上げ) ~36回
30万円超過
~100万円以下
お借入後残高 × 2.53% (1,000円未満切り上げ) ~60回
100万円超過 お借入後残高 × 1.99% (1,000円未満切り上げ) ~80回

(プロミス「ご返済金額の算出方法」)

次の表現も、「△△円を超える」という意味である。

金額を訂正した場合、バーコードの印字がない場合、バーコードが読み取れない場合、納付書額面金額が30万円超過の場合、取扱有効期限が過ぎている場合は、コンビニエンスストアやMMK設置店、モバイルレジでは納付できません。

(伊丹市 「市税の納付方法について」)

このことは、金額の場合は、「△△円超過」が「プラス△△円」という意味にならない、という意味ではない。僕(キジけん)の経験上、金額の場合は、他の場合に比べて、「超過」は「未満」の対義語として使われる傾向がある、ということを意味しているに過ぎない。

次の記事の「24年パリ五輪の予算は650億円超過の恐れ、仏政府が警告」という見出しは「プラス650億円」という意味である。

24年パリ五輪の予算は650億円超過の恐れ、仏政府が警告

【3月31日 AFP】2024年パリ五輪に向けた工事がほとんど開始されていない中、フランス政府の予算監視機関は30日、大会予算が当初計上された総額68億ユーロ(約8900億円)から、5億ユーロ(約650億円)を超過する恐れがあると警告した。

(AFPBB News「24年パリ五輪の予算は650億円超過の恐れ、仏政府が警告」2018年3月31日 13:10)

 

「未満」の対義語として、「超過」を使うべきではない

「15円高い」と言えば、比較対象に比べて「プラス15円」という意味である。それと同様、「15円超過」と言えば、「プラス15円」(超過分が15円)という意味に捉えられる可能性がある。

そもそもの問題は、超過が「超過する」という用言(動詞や形容詞)として使われることである。だから、「15円高い」と同じ理屈になる。(「以上」「以下」「未満」には「する」は付かない。)

混乱が生じるので、「未満」の対義語として、「超過」を使うべきではない。

「超える」という概念を表す言葉として「超過」を使うのはかまわない

僕が書いていることは、「15円超過」と書けば「プラス15円」という意味に取られる可能性が高いので、「15円を超える」という意味では使うべきではない、ということである。

要は、「数詞+超過」 (15超過) や 「数詞 + 単位・助数詞 + 超過」(15円超過) という使い方は、「を超える」という意味としては、やめてほしい、ということである。

「超過」が「超える」という概念を意味する言葉であること自体は、何も問題ない。

「未満」(より小さい)の反対概念として、「超過」(より大きい)という概念が存在するのは間違いない。そのため、「未満の反対は超過だ」という表現が、必ずしも誤っているわけではない。

しかし、それは、「15円超過」と言えば、「15円を超える金額」という意味になるということとは異なる。

”「未満」の対義語は何か” の答えは実はみんな知っている

はい、それは「超」です

”「未満」の対義語は何か” の答えは簡単で、「超」(ちょう)である。

Wikipediaでも「超」であると記されている。

接尾辞
「数詞(+単位・助数詞)+超」で、その数より多いことを意味する。不等号で表すと「> 数」になり、より少ないことを意味する「未満」(みまん)の対義語。基準となる数を含む以上・以下に対し、超・未満はその数を含まない。たとえば、「100超」は「> 100」を意味し、100は含まない。

(Wikipedia 「超」#接尾辞

何もWikipediaに書かれているからと言ってなんでも正しいということはないが、実際に使われているのは「超」なので、何も間違えていない。

 九州から東日本の太平洋岸にかけて停滞する梅雨前線が活発化し、九州南部は3日も豪雨に見舞われた。鹿児島、宮崎両県で記録的な雨量を観測するなど、熊本県を合わせた3県の196万人超に避難指示・勧告が出た。

(朝日新聞DIGITAL「九州の豪雨、196万人超に避難指示・勧告 けが人も」2019年7月3日 22時11分)

この記事に限らず、「体重100キロ超」「ブレーキ利かず列車1キロ超走行」「再生数△△回超」など、「超」を使った例はネット上にたくさんある。

「余」は少しニュアンスが異なる

「30万円余」や「30万余円」という表現はあるが、単純に「30万円を超える」という意味ではない。もちろん、30万円を超えているには違いないが、「プラス少し」というニュアンスを帯びている。

「39万円」を「30万円余」と表現することは、間違えているとは断言できないが、誤解が生じないか注意したほうが良い。「39万円」は「30万円と少し」なのか、その捉え方に違和感はないのか、という問題である。

また、40万円だろうと50万円だろうと、「30万円超」であるには変わりないが、それらを「30万円余」と表現するのはかなり問題がある。(「余」について述べるのが本記事の目的ではないので、これ以上追究しない。)

なぜ対義語が2文字ではないのか

「以上」「以下」「未満」・・・みんな2文字なのだから、「未満」の対義語も2文字であってほしい、という人がいたら、「対義語が同じ文字数である必要など無い」と答えたい。

どうしても漢字2文字でないと納得がいかないという人は

ネットでは「超満」「過満」という言葉が提案されている。「196万人超満」などと言えばよい1。「196万人超過」よりよほど良い。

ただ、「超満」「過満」という言葉を聞いて、「未」の反対は「超」「過」なのだろうか、と疑問に思う人もいるかもしれない。そのように、疑問をいつまでも繰り返すのはあまり建設的ではないと思う。だったら、そもそも「未満」の反対は「超」1文字でいいのだ、と答えたい。

繰り返すが、対義語が同じ文字数である必要など存在しない。もっとも、「対義語が同じ文字数だと気分がいいな」という感情を否定するつもりはない。

斜め上の回答

「未満」の対義語は何かに対する斜め上の回答として「突破」というものも考えられるが、「人口100万人超」と「人口100万人突破」は、言わんとしていることが明らかに異なる。

「超」は兆(ちょう)と紛らわしくないか

「10超」と言ったら、「10兆」とまちがえないか。

文字で書けば何も問題ない。どうしても口頭語で紛らわしいときは、「10を超える」と言ったり、「10個超」「10円超」「10ごえ」と言うなど、代替手段はある。

そんなことを言うなら、「30万余円」は「三十万四円」と紛らわしいという話にもなる。

まとめ

まとめ

「未満」の対義語(「を超える」の意味)は
「超」(ちょう)
である。

以上です、ケンケン。

註釈
  1. 「超満」「過満」のいずれがよいかは、僕は積極的には支持していないので、どちらでもよい。あえて選ぶなら「超満」のほうがいいと思う。[]

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