こんにちは、キジくんケンケンブログのキジけんです、ケンケン。
「手足などが寒さのため、こごえて思うように動かなくなる」という意味の言葉の漢字表記です。
悴む
凍む
本稿では、基本的には「悴む」をお勧めしたいと思います。
尚、送り仮名としては、「悴かむ」「凍かむ」のように「か」を送ってもいいかなと思います。1
「悴む」は国語辞典に載っているか
「かじかむ」の漢字表記のある国語辞典
僕が調べた範囲で、「かじかむ」の漢字表記のある国語辞典は以下の通りです。2 3
すべて「悴(か)む」の表記です。
三省堂国語辞典第八版(三省堂。2022年1月10日)
明鏡国語辞典第三版(大修館書店。2021年1月1日)
新明解国語辞典第八版(三省堂。2020年11月20日)
大辞林第四版(三省堂。2019年9月20日)
広辞苑第七版(岩波書店。2018年1月12日)
学研現代新国語辞典改訂第六版(学研プラス。2017年12月19日)
現代国語例解辞典第五版(小学館。2016年11月20日)
旺文社国語辞典第十一版(旺文社。2013年10月13日)
大辞泉第二版(小学館。2012年11月7日)
みやすい現代国語辞典(三省堂。2010年9月10日)
角川国語辞典新版417版(角川学芸出版。2008年11月25日)
角川新国語辞典第117版(角川学芸出版。2007年12月15日)
「かじかむ」の漢字表記のない国語辞典
「かじかむ」の漢字表記のない国語辞典は以下の通りです。2
新選国語辞典第十版ワイド版(小学館。2022年2月21日)
例解新国語辞典第十版(三省堂。2021年2月10日)
旺文社標準国語辞典第八版(旺文社。2020年12月4日)
岩波国語辞典第八版(岩波書店。2019年11月22日)
三省堂現代新国語辞典第六版(三省堂。2019年1月10日)
集英社国語辞典第3版(集英社。2012年12月19日)
新解国語辞典第二版(小学館。1999年1月1日)
「悴む」以外の「かじかむ」の漢字表記
凍む
(新潮日本語漢字辞典(新潮社。2007年9月25日))
漢字の意味からすると、「悴む」より「凍む」のほうがわかりやすいとは言えます。
ただ、国語辞典でこの表記(「凍む」)は確認できないので、あまりお勧めできません。
「悴」という漢字
「悴」の意味
悴
【語義】[一](動)①憂い悲しむ。「傷悴」
[ニ](形)①衰え、やつれたさま。やつ-れる・ヤツ-ル。《動詞で訓読》 [通] 酔。顇。「悴貌(=やつれた顔つき)」「憔悴」
②困苦になやむさま。「疲悴(=戦乱でくたびれはてたさま)」 ③枯れてしぼんださま。「萎悴」
(全訳漢辞海第四版机上版(三省堂。2017年8月10日))4
上記からすると、「悴」という漢字の意味は、「かじかむ」の意味と(似てるけど)少し違いますね。
「悴」を含む熟語
しょうすい 憔悴
意味:[病気や心配ごとなどで]やつれおとろえること。5
「かじかむ」という言葉の来歴
もともと「かしく 悴く」(カ行下二段活用)という動詞がありました。
「かしく」は「やつれ衰える。(植物が)しおれる。」という意味でした。
言葉の形が「かしく」→「かじく」→「かじける」→「かじかむ」と変化してきました6。
その過程で「手足などが寒さのため、こごえて思うように動かなくなる」という意味を帯びてきました。
その点について、「精選版 日本国語大辞典」の「かじかむ【悴】」の「語誌」では次のように記載されています。
[語誌]
(1)「かしく」(→かじける)から派生したものと思われ、ともに①7の意で用いられた。「日葡辞典」には「かじく」「かしく」の両形が見え、近世以降「かじかむ」「かじく」という濁音形が一般的になったと思われる。
(2)近世後期には、寒さのために生気がなくなる意味をもつ「かじける」の例が多くなり、以後、「かじかむ」もこの意味を中心に使われるようになる。(精選版 日本国語大辞典 第一巻 初版(小学館。2006年1月1日)「かじかむ【悴】」の「語誌」)
送り仮名 「悴む」か「悴かむ」か
「かじかむ」は「かしく」から来ているのですから、語源的には「かじかむ」も「か」も送り仮名に含めて「悴かむ」と書いたほうがいいかなと思います。8
ただ、「悴む」の活用語尾は「む」の部分なので、「か」は送り仮名に含めなくていいのではないか、という考えもあると思います。
いずれにしても、僕は、送り仮名に「か」を含めるかはそんなに大きな問題ではないと思っています。
「かじかむ」の類語
「かじかむ」の類語として、「ちぢかむ」があります。
ちぢか・む【縮かむ】〈自動五段〉[寒さ・恐ろしさなどのために]からだが小さくぢぢんだようになったり、動きがにぶくなったりする。
(三省堂現代新国語辞典第六版(三省堂。2019年1月10日)。用例以下、略)
結論
悴む
凍む
本稿では、基本的には「悴む」をお勧めしたいと思います。
以上です、ケンケン。
註釈
- 「凍む」は「凍みる」の文語「しむ」、とも読めますよね。[↩]
- 本文見出し語に限ります。[↩][↩]
- 辞書の年月日は、その版の発行年月日です。複数の刷があるものも、第一刷の年月日に則るものとします。また、引用の際、見やすくするために改行を入れたり、漢数字を算用数字に変えたり、細かい記号や歴史的仮名遣いを省略・置き換えしたり、文字装飾等したりすることもあります。[↩]
- 日本語での用法として、「せがれ」(自分の息子)の意味で使うこともあるが、略している。[↩]
- 三省堂現代新国語辞典第六版(三省堂。2019年1月10日)[↩]
- ただ、僕としては、「かじける」→「かじかむ」という変化については、ちょっと納得できないところもあります。もしかしたら「ちぢかむ」という言葉と関係しているのでしょうか。[↩]
- 生気がなくなって、やせ衰える。また、草木などがしおれる。[↩]
- 細かいことですが、現代国語例解辞典第五版(小学館。2016年11月20日)では、漢字表記は「悴かむ」となっており、「かむ」が送り仮名になっています。[↩]