こんにちは、キジくんケンケンブログのキジけんです、ケンケン。
「なんで麺が冷たいんだ」
ちょっと前の話ですが、2月1の半ば、ラーメン店で「つけ麺」を頼んだ客が「なんで麺が冷たいんだ」と言って暴れ出して、逮捕されたという事件がありましたね。
「つけ麺とは、冷たい水で締めた麺を温かい汁につけて食べるものなんですよ」と店主は説明したら、「お前ら、ぶっ殺すぞ」などと言って暴行してきたそうです2。
まあ、実にけしからんことですな。
ただ、僕は、「冷たい水で締めた麺を温かい汁につけて食べるもの」という説明を読んでも、「それはそうでしょう」とは思わなかった。
「はえー、そうなんだぁ」という感じですね。
きっとラーメン界においては常識なんだろうな。その道のプロフェッショナルがそう言うのだから、そうなんだろうな。
Wikipediaの「つけ麺」を読んでみても、麺が冷たいというのが原則みたいですね。麺が温かいのが例外であり、それを熱盛というそうな。更に遡ると、「熱盛」とは「熱い盛りそば」の略なんだそうだ。
僕は、「熱盛」というのは、報道番組が作った言葉だと思っていたわ。
国語辞書で「つけ麺」
僕は手元の国語辞典を引いて、「つけ麺」に、温かいとか冷たいとかいう説明があるか確かめたくなりました。
「つけ麺」(付け麺)という言葉は、どんな辞書にもある言葉ではなく3、肌感覚で、ざっと、半数の辞書には載っていないようだ。
辞書界においては、どの辞書にも載っているような、必ずしも一般的な言葉とも言えない、ということだ。
「つけ麺」が載っている辞書を読んでみた。結論から言うと、ほとんどの辞書は、温かいとか冷たいとかいうような温かさについての説明はなかった。
辞書の年月日は、その版の発行年月日(年は西暦)です。複数の刷があるものも、第一刷の年月日に則るものとします。また、引用の際、見やすくするために改行を入れたり、漢数字を算用数字に変えたり、細かい記号や歴史的仮名遣いを省略・置き換えしたり、文字装飾等したりすることもあります。
付け麺の辞書での説明
つけ-めん【付け麺】[名] ゆでた中華麺をつけ汁につけて食べる料理。
(明鏡国語辞典第三版(大修館書店。2021年1月1日))
[ つけ-めん 付け麺] ゆでた中華麺を別の器のつけ汁につけて食べる料理。
(現代国語例解辞典第五版(小学館。2016年11月20日))
「ゆでた中華麺」と言っても、ゆでた後温かいか冷たいかの説明はないですね。
つけ-めん【付け麺】つけ汁につけて食べる麺。
(広辞苑第七版(岩波書店。2018年1月12日))
つけ めん【付(け)麺】 つけ汁につけて食べる中華そば。
(新明解国語辞典第八版(三省堂。2020年11月20日))
大辞林第四版(三省堂。2019年9月20日)・旺文社国語辞典第十一版(旺文社。2013年10月13日)の語釈も、この辞書(新明解国語辞典第八版)とまったく同じなので引用を省略する。
つけ めん[付け麺] つけ汁につけて食べる中華そば。つけそば。「―の熱盛り」
(三省堂国語辞典第八版(三省堂、2022年1月10日))
つけ-めん【付け麺】[名] めんと汁を別の器に盛りつけ、汁にめんを付けながら食べるラーメン。
(新選国語辞典第十版ワイド版(小学館。2022年2月21日))
とまあ、ここまでは、温かさについての説明は一切ありません。
僕が持っている国語辞典で温かさについて説明があるのは、大辞泉のみです。
つけ-めん【付(け)麺】麺料理の一種。ゆでた中華そばを冷やして笊に盛り、つけ汁につけて食べるもの。
(大辞泉第二版(小学館。2012年11月7日))
「ゆでた中華そばを冷やして」という説明はラーメン界の人には納得いただけると思います。
ただ、「笊(ざる)に盛り」と言われると、「ええっ? そうかな」と思うんじゃないかなあ。
まとめ
ということで、まとめると、辞書界においては、必ずしも冷たいという説明はないようです。
ラーメン界というのはハードルが高いと認識しました。
以上です、ケンケン。
註釈- 2023年2月。[↩]
- つけ麺を注文し「なぜ冷たいんだ」、ラーメン店主に暴行した客を私人逮捕、警察に被害届 2023年2月26日閲覧[↩]
- ここで言う「辞書にある・ない」は、見出し語として存在するかを意味する。[↩]