ことば

「はくや」「びゃくや」の勝負を考えよう 冊数で 厚みで

こんにちは、キジくんケンケンブログのキジけんです、ケンケン。

「白夜」は「はくや」と読むのが正しいという人がいるようなので、本当かなと思い、僕の手元の辞書たちを調べることにしました。

結論を言うと、「はくや」も「びゃくや」も正しいです。

ただ、これで終わるこのブログではありません。

本稿では、手元の辞書たち1が「びゃくや」「はくや」のどちらを一般的な読み方として扱っているのかを書きます。

例えば、「はくや 白夜」という見出し語があって、「びゃくや 白夜」がなかったら、「はくや」のほうを一般的な読み方としていると言えます2
あるいは、「はくや 白夜」が空見出しになっていて、「びゃくや 白夜」を参照することになっていたら、「びゃくや」を一般的な読み方としていると考えられます。

結論

勝負結果

「はくや」を一般的な読み方とするのは10冊、
「びゃくや」を一般的な読み方とするのは7冊です。

「はくや」のほうが勝ちです。

「はくや」を一般的な読み方とする辞書

「はくや」のみ見出し語として載っている辞書

角川国語辞典新版417版(角川学芸出版。2008年11月25日)

「びゃくや」が空見出しになっていて、「はくや」を参照するようになっている辞書

新選国語辞典第九版ワイド版二色刷(小学館。2011年1月31日)
新明解国語辞典第八版(三省堂。2020年11月20日)
旺文社標準国語辞典第八版(旺文社。2020年12月4日)
新解国語辞典第二版(小学館。1999年1月1日)
旺文社国語辞典第十一版(旺文社。2013年10月13日)
集英社国語辞典第3版(集英社。2012年12月19日)
みやすい現代国語辞典(三省堂。2010年9月10日)
大辞林第四版(三省堂。2019年9月20日)
広辞苑第七版(岩波書店。2018年1月12日)

はく や【白夜】 夜中でも夕暮れのように薄明るい感じがすること。特に、◁北極(南極)に近い地域で、◁夏至(冬至)のころ見られるもの。「びゃくや」とも。

びゃく や【白夜⇒はくや

(新明解国語辞典第八版(三省堂。2020年11月20日))

「びゃくや」を一般的な読み方とする辞書

「びゃくや」のみ見出し語として載っている辞書

例解新国語辞典第十版(三省堂。2021年2月10日)

「はくや」が空見出しになっていて、「びゃくや」を参照するようになっている辞書

現代国語例解辞典第五版(小学館。2016年11月20日)
三省堂国語辞典第七版(三省堂。2014年1月10日)3
学研現代新国語辞典改訂第六版(学研プラス。2017年12月19日)
岩波国語辞典第八版(岩波書店。2019年11月22日)
明鏡国語辞典第三版(大修館書店。2021年1月1日)
三省堂現代新国語辞典第六版(三省堂。2019年1月10日)

[はく-や 白夜] ⇒びゃくや(白夜)。(夏)

[びゃく-や 白夜] 高緯度地方で、夏、日没から日の出までの間、薄明るい状態であること。(夏) 『フィンランドの白夜』 ▶伝統的には「はくや」だが、今日、「びゃくや」が一般的。

(現代国語例解辞典第五版(小学館。2016年11月20日))

勝負結果について再度考える

「びゃくや」のほうが新しい

なんとなくですが、「びゃくや」を一般的な読み方とする辞書のほうが少し新しめな傾向があると思います。
その意味で、「はくや」から「びゃくや」へ読み方が移って行っていると言えます。

辞書の厚みで考える

単純に辞書の冊数で考えるのではなくて、辞書を積んでその厚みで判断してはどうでしょうか。
これは、厚みのある辞書を重く見て、薄い辞書は軽く見ることを意味します。

結果は、左の写真の通りです。

「はくや」の厚みは10冊合計で53.9cmです。

「びゃくや」の厚みは7冊合計で31.1cmです。

明らかに「はくや」のほうが優勢です。

ちなみに僕は現在、大辞泉という辞書を持っていませんが、厚みのある辞書なので、もし持っていたら、そっちが入るほうが有利でしょうね。厚みで考えるなら。

ま、結局、「はくや」でも「びゃくや」でもいいのですが、優勢なのは、冊数にしても、厚みにしても、現在では「はくや」のほうかな、という気がします。

辞書を基準に判断するならば、の話です。

以上です、ケンケン。

追記
おそらく世間では「びゃくや」のほうが一般的な読み方であろうと思われます。
必ずしも辞書が現在の日本語の状況を表す「鏡」ではないからです。
上記の「はくや」「びゃくや」のグループ分けを見ると、どういう辞書が保守的で規範主義的なのかも見えてきます。

 

註釈
  1. ここでいう「僕の手元の辞書」とはすべて紙の辞書であり、オンライン辞書や電子辞書はありません。
    辞書の年月日は、その版の発行年月日(年は西暦)です。複数の刷があるものも、第一刷の年月日に則るものとします。また、引用の際、見やすくするために改行を入れたり、漢数字を算用数字に変えたり、細かい記号や歴史的仮名遣いを省略・置き換えしたり、文字装飾等したりすることもあります。[]
  2. 「辞書は、規範的とされる読み方を載せているのであって、一般的な読み方なのかを載せているのではない」という反論もありえますが、話が進まなくなるので、そのような議論はしないことにします。[]
  3. ちなみに、近々(2021年12月)、三省堂国語辞典は第八版が出るらしい。出たら買いたい。[]

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