こんにちは、キジくんケンケンブログのキジけんです、ケンケン。
「缶詰」(かんづめ)とはなんでしょうか。
簡単ですね。食べ物を缶に入れて、長期保存ができるようにしたものですね(食べ物の缶詰の意味)。
ただ、「缶詰」(「缶詰め」とも書く。)には、もう一つの使い方がありますよね。
「ホテルに缶詰めにされる」という使い方ですね。
かん-づめ【缶詰】②仕事などのために、本人の同意を得て、人をある場所に一定期間閉じこめておくこと。||「ホテルにーになって原稿を書く」
(明鏡国語辞典第三版。歴史的仮名遣い等の記載を省略。①は食べ物の缶詰の意味なので省略)
ただ、ここで一つの疑問が浮かびます。「本人の同意を得て」と書いてありますが、缶詰めという状態は本当に「本人の同意を得ている状態」なのでしょうか。
「監禁」という言葉に比べれば、「本人の同意を得ている状態」に近いのでしょうけれど、「本人の同意を得ていない状態」で使われることもあると思います。
新明解国語辞典ではどうでしょうか。
かんづめ【缶詰(め)】《中略》〔外出・連絡を拘束された状態で一か所にとどめておかれる意にも用いられる。例、「旅館に―になる/吹雪で丸一日列車の中に―にされた」〕
(新明解国語辞典第八版。アクセント記号・歴史的仮名遣いの記載を省略。《中略》の部分は食べ物の缶詰の意味)
新明解国語辞典では、同意については触れておりません。
同意不同意に関して言うと、この新明解国語辞典の「吹雪で丸一日列車の中に―にされた」というのは、「本人の同意を得ていない状態」です。
むしろ、「不本意」「しぶしぶ」「不承不承」の場合に使われることが多いと思われます。
「いや、結局 そういうのは同意と言うのだ」「吹雪で丸一日列車の中に留め置かれるのも約款(旅客営業規則)の範囲内であり、約款(同規則)に同意して鉄道を利用するのだ」という考えもありえるのかもしれませんが、日常の言葉として考えた場合、同意という言葉の意味を広く取り過ぎている感があります1。
つまり、「缶詰め」には「本人の同意を得ている状態」「本人の同意を得ていない状態」の両方があり、どちらかと言うなら「本人の同意を得ていない」というイメージを帯びています2。
自ら望んで缶詰状態になることもあります。本人の気持ちには幅があります。
敢えて言うなら「本人の同意を得たり得なかったりして」ということになりますが、それなら、同意について触れる意味もありません。
なぜ、明鏡国語辞典では、「本人の同意を得て」を入れたのだろうかと疑問に思います。
そこには「法的に問題はない拘束なのだから、同意していたはずだ」という、後付けの理屈があると思うのです。
以上です、ケンケン。
註釈- 更に論を進めるとするなら、例えば「性的同意」の「同意」にしても、人によって解釈に幅がある可能性があります。[↩]
- 正確には、「同意」とは何かという問題にもなります。ただ、イメージとしてはこの通りです。[↩]