ことば

ぶたじる・とんじる問題

こんにちは、キジくんケンケンブログのキジけんです、ケンケン。

今日は、「豚汁」を「ぶた汁」と読むのか「とん汁」と読むのかという、聞き飽きた話題について、手元の辞書たちはどう答えるのか調べてみたいと思います。

結論

辞書たちは、どちらかと言えば「とん汁」という読み方のほうを普通の読み方だと判断しているようです。

「ぶたじる」という見出し語があるか・ないかということと、「とんじる」という見出し語があるか・ないかということを組み合わせると、理屈の上では4つに大きく分かれるはずです。

ただ、両方あっても、どちらかがから見出しになっている可能性もあります。

更に、「ぶたじる」の語釈で「とん汁」という読みを示している、「とん汁」の語釈で「ぶた汁」という読みを示している、ということもあり得ます。

下記で、辞書の年月日は、その版の発行年月日(年は西暦)です。複数の刷があるものも、第一刷の年月日に則るものとします。また、引用の際、見やすくするために改行を入れたり、漢数字を算用数字に変えたり、細かい記号や歴史的仮名遣いを省略したり、文字装飾等したりすることもあります。

「ぶたじる」という見出し語も、「とんじる」という見出し語もない

見出し語として、「ぶたじる」も「とんじる」もない辞書は次の通りです
尚、これらは、「ぶた」「とん」「しる」の項目を見ても、子見出しとして「ぶたじる」や「とんじる」が載っていることもありません。

新解国語辞典第二版(小学館。1999年1月1日)
旺文社標準国語辞典第八版(旺文社。2020年12月4日)

「ぶたじる」という見出し語があって、「とんじる」という見出し語がない

僕の手元にはこのような辞書はありません。

「ぶたじる」という見出し語がなくて、「とんじる」という見出し語がある

これが多数派です。

ただ、これには、2種類あります。
「とんじる」の語釈の中で「ぶたじる」という読みを示すものと、示していないものです。

「とんじる」の語釈の中で「ぶたじる」という読みを示すもの

現代国語例解辞典第五版(小学館。2016年11月20日)
集英社国語辞典第3版(2012年12月19日)
岩波国語辞典第八版(岩波書店。2019年11月22日)
旺文社国語辞典第十一版(旺文社。2013年10月13日)
三省堂現代新国語辞典第六版(三省堂。2019年1月10日)
新選国語辞典第九版ワイド版二色刷(小学館。2011年1月31日)
新明解国語辞典第八版(三省堂。2020年11月20日)
明鏡国語辞典第三版(大修館書店。2021年1月1日)

[とん-じる 豚汁]  豚肉のこま切れと野菜とを入れた味噌みそ仕立ての汁。ぶたじる

(現代国語例解辞典第五版(小学館。2016年11月20日))

「とんじる」の語釈の中で「ぶたじる」という読みを示していないもの

例解新国語辞典第十版(三省堂。2021年2月10日)
学研現代新国語辞典改訂第六版(学研プラス。2017年12月19日)

とんじる【豚汁】<名> ぶた肉を入れたみそ汁。

(例解新国語辞典第十版(三省堂。2021年2月10日))

「ぶたじる」という見出し語も、「とんじる」という見出し語もある

このような辞書は僕の手元に2冊ありますが、いずれも、片方が空見出しとなっています。

「とんじる」が本見出しで、「ぶたじる」が空見出し

三省堂国語辞典第七版です。

とんじる[豚汁](名)〔料〕ぶた肉の こま切れを入れたみそしる。ぶたじる。〔北海道を除く東日本でよく言う

ぶたじる[豚汁](名)〔西日本・北海道方言〕〔料〕⇒とんじる。

(三省堂国語辞典第七版(三省堂。2014年1月10日))

「ぶたじる」が本見出しで、「とんじる」が空見出し

広辞苑第七版です。

とん-じる【豚汁】⇒ぶたじる

ぶた-じる【豚汁】豚肉に野菜などを加えて味噌仕立てにした汁物。とん汁

(広辞苑第七版(岩波書店。2018年1月12日))

広辞苑では、「ぶたじる」のほうが本見出しになっている(「とんじる」が空見出しになっている)ことが注目されます。

以上です、ケンケン。

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