こんにちは、キジくんケンケンブログのキジけんです、ケンケン。
今回は、昆虫・昆孫の昆という字について書きます。
自分の6代あとの続き柄を意味する言葉として「昆孫」(こんそん)というものがありますが、昆虫の昆がなぜ昆孫という言葉に使われているのかというのが今回書く話題です。
結論から書きます。
昆孫の昆は、群と同源の言葉であり、「多く集まった仲間」というのがもともとの意味です。そこから、兄弟・子孫という意味が出てきました。
昆虫は、「集まった虫」「群れている虫」という意味で名付けられたのです。
昆虫にたとえる
コリア人を昆虫に譬えるとヘイトスピーチになることもあるそうで、気を付ける必要があると思いました。
ただ、「昆虫にたとえる表現」は問題があると言っても、いろいろな昆虫がいると思います。何せ、昆虫というのは、約100万種もいるそうですからね。
「蝶のように舞う」とか「蟻のように働く」とか「蝉のように生きる」など、昆虫に譬えたいろいろな表現があると思います。
昆孫(こんそん)
昆虫の昆を使った言葉で「昆孫」(こんそん)というものがあります。
続き柄を表す言葉であり、子・孫・ひ孫・・・と辿っていって、自分の6代後の世代です。
昆虫は6本脚だから、「6」代あと、と覚えればいいのではないかと思います。
全部言うと、①子、②孫、③曽孫(そうそん、ひまご)、④玄孫(げんそん、やしゃご)、⑤来孫(らいそん)、⑥昆孫、⑦仍孫(じょうそん)、⑧雲孫(うんそん)となっています。
雲孫は、8代あとの世代ですので、「クモは8本脚だから」と覚えればいいと思います。えっ、ナニナニ? 来孫と仍孫は何本脚だって? え・・・(絶句)
話を先に進めます。ここで不思議に思うのは、なぜ続き柄関係に昆虫の「昆」が出てくるのかという疑問です。
調べてわかったところだけでも説明したいと思います。
「晜」という字
まず、前提として、昆孫は晜孫とも書きます。読み方は「こんそん」で同じです。
晜は、日+弟 と書きます。
晜は「兄弟、子孫」という意味があります1。
ただ、晜という字は、日(昆の略体)と弟(きょうだいの意味)から成っています1。日が昆の略体ということは、字としては、昆のほうが先で、晜が後に成り立ったことになります。
「昆」という字
昆という字には、昆虫の昆という使い方もありますが、「兄弟、子孫」という意味もあります。
なぜ、昆虫の昆に「兄弟、子孫」という意味があるのかは、昆「コン」という発音には「兄弟、子孫」という意味もあるからです。
そもそも漢語の昆は群と同源の言葉であり、「多く集まった仲間」というのがもともとの意味です。そこから兄弟・子孫という意味が出てきました。昆虫というのは、「集まった虫」「群れている虫」という意味で昆虫と言うのです。
次のような説もあります。
[釈名]来孫(=曽孫の孫)の子を「昆孫」という。「昆」は「貫」である。身内の恩情がさらに遠のき、礼をもって貫連する(=つらぬく)ほかないのである。<釈親属>
(全訳漢辞海第四版)
ただ、僕は、この説は本当かなあ、という気がします。
ちなみに、『釈名』とは、後漢末の劉熙(りゅうき)という人が著した辞典で、釈親属というのはその1篇だそうです(『釈名』については、Wikipediaの解説を読んだほうがわかりやすいと思います)。
続き柄関係に「昆」という字が登場する理由は上記の通りです。残念ながら、なぜ「6代あと」なのかはわかりませんでした。
昆という字に「6本脚」という意味はありませんので、6という数は昆という字からは導けないと思います2。
まあこういうのは、子孫を表すいろいろな言葉があって、後の人が「この言葉は、何世代あとを意味する言葉、ということにしよう」と決めたのではないかと思われます3。
「昆」の成り立ち
昆という字は、「昆虫の象形文字である」という説が一般的なようです。
その他、「○(丸い一団)を意味する日」+「人が並んでいることを意味する比」という成り立ちである(多くの人が集まって丸い一団を形成している)、という説4もあります。
もともと昆が「多く集まった仲間」という意味だとすると、「昆虫の象形文字である」という説明は少し違和感を覚えます。
まとめ
昆孫の昆は、群と同源の言葉であり、「多く集まった仲間」というのがもともとの意味です。そこから、兄弟・子孫という意味が出てきました。
昆虫は、「集まった虫」「群れている虫」という意味で名付けられたのです。
以上です、ケンケン。
註釈- 上級漢和辞典漢字源改訂第六版[↩][↩]
- こじ付けとして覚えるのは構いません。[↩]
- 例えば『釈名』のような辞典によって決められたのかもしれません[↩]
- 上級漢和辞典漢字源改訂第六版の説明を書き替えたもの。[↩]